高線量で近づけず、汚染水が漏えい、故障続きのALPSで綱渡りが続く福島原発、作業員6000人で対応(11/11 福島民報)

■高性能ALPS 全系統ようやくフル稼働

 東京電力福島第一原発は、汚染水対策の切り札「高性能ALPS」の試運転が始まったほか、4号機では使用済み核燃料の取り出しが完了するなど事故収束、廃炉に向けた作業がようやく動きだした。事故発生後から建屋を覆っていた1号機のカバーの解体に向けた工事も始まった。ただ、カバー解体準備難航により1号機の燃料取り出しの計画が当初予定より遅れるなど廃炉作業にはつまずきも見える。汚染水対策、溶融燃料の取り出しの技術開発など、同時並行で進む廃炉作業の現状と課題などを探る。
 東電は福島第一原発で発生する汚染水から大半の放射性物質を取り除く多核種除去設備(ALPS)=3系統=の改良型「高性能ALPS」=1系統=の汚染水処理を10月18日から開始した。
 高性能ALPSは既設のALPSが1系統当たり一日250トンの汚染水処理量だったのに対し、倍の同500トンの処理が可能。さらに処理後に生じる廃棄物の量も大幅に抑えられるように改良している。
 10月23日からは、既設のALPSでトラブルのため停止していたB系統の試運転が再開し、全てのALPSが稼働している。東電によると一日当たり1960トンの汚染水処理が可能となった。

年度内浄化困難

 高性能ALPSの稼働で、福島第一原発の敷地内にたまり続ける汚染水の処理に明るい兆しが出た。しかし、高性能ALPSを加えても、東電が目標とする「年度内の浄化」は非常に厳しい状況だ。
 東電の広瀬直己社長は昨年9月、安倍晋三首相に敷地内の汚染水の浄化を平成26年度中に完了すると約束。タンクに保管されている高濃度汚染水は約36万トンあり、年度内に全てを浄化するには毎日2000トン以上を処理する必要がある。しかし、現状ではALPSの全系統が稼働しても一日1960トンの処理にとどまり、その上、既設のALPSではトラブルによる停止が相次ぐ。安定的な処理が不可欠となる。

■地上タンク 930基、35万7000トン保管

 汚染水を保管する福島第一原発の敷地内の地上タンクは約930基ある。総容量約62万トンで約35万7000トンが保管されている。昨年8月には接合部をボルトで締めただけの「フランジ型」のタンクから高濃度汚染水が漏えいするトラブルが発生。東電は急ピッチでフランジ型から漏えいの危険性が低い「溶接型」に切り替えており、10月30日現在でフランジ型約375基、溶接型が約555基となっている。

■「綱渡り」続く

 東電は接合部をボルトで締めただけのフランジ型のタンクから漏えいが相次いだため、信頼性の高い溶接型タンクに切り替える作業を進めている。しかし、日々増え続ける地下水の流入抑制対策が遅れると、タンクの建設が間に合わなくなる可能性がある。綱渡り的な状況からは脱し切れていないのが現状だ。
 10月末現在で、敷地内のタンクには汚染水が約35万7000トン保管されている。さらに汚染水から大半の放射性物質を取り除くALPSで処理した水が17万5000トン貯蔵されている。
 タンクの増設は、天候に左右され作業が中止となる可能性もあり、工程通りに進むかは不安定要素も多い。東電は敷地内で組み立てをせずに完成品の溶接型タンクを海上輸送で運び込む方法も取り入れている。
 また、汚染水を貯蔵していたフランジ型タンク解体後の廃棄物を安定的に保管する方法も定まっていない。タンクを設置する敷地面積も限られており、用地の確保をどうするかも不透明だ。

■地下水流入対策 1日50~80トン抑制

 東電は汚染水対策として原子炉建屋に流入する前の地下水をくみ上げて海に流す地下水バイパスの運用を継続している。
 4月に12カ所の井戸でくみ上げを開始。10月29日までに海洋放出した地下水は、4万8439トンに上る。東電は9月、一日当たり50トンから80トンの汚染水発生の抑制効果があるとの試算を示した。
 一方、福島第一原発1~4号機を氷の壁で囲み、地下水の建屋への流入を防ぐ凍土遮水壁の設置工事が進む。総延長1・5キロにわたり凍結管を埋め、冷却材を循環させて土壌を凍らせる計画だ。来年3月の凍結開始を目指す。凍結管を設置する穴を掘る工事は5日現在、605本分を完了した。

効果疑問の声も

 東電が公表した地下水バイパスによる汚染水発生の抑制効果の試算は、季節で異なる降雨量の推移などを反映しておらず、効果を疑問視する専門家もいる。東電は長期的にデータを蓄積し、抑制効果を再評価するとしている。
 凍土遮水壁では、海側のトレンチ(電源ケーブルなどが通る地下道)で高濃度汚染水を取り除く工事が難航。原子力規制委員会の認可のめどが立たない。前例のない大規模な凍土壁が凍るか、実現性を懸念する声もある。

■4号機燃料 年内にも燃料移送完了

 東電は福島第一原発4号機の使用済み核燃料プールから燃料取り出しを昨年11月に開始。間もなく1年が経過するが、取り出し開始以降は目立ったトラブルもなく作業が順調に進んでいる。目標通り年内にはプール内の使用済み、未使用燃料全1533体の移送を終えそうだ。
 1日には福島第一原発を就任後初めて視察した宮沢洋一経済産業相が未使用を除く、使用済み燃料1331体の輸送容器(キャスク)に収める作業が終わったと発表。着実に作業が行われている点をあらためて強調した。

がれき処分先課題

 東電は課題だった損傷燃料の取り出しに関しても10月31日、11月1日の両日で3体の取り出しとキャスクに収める作業を成功させた。
 損傷燃料の取り出しでは、変形箇所が引っ掛かるなどの事態に細心の注意を払いつつ、ゆっくりと手作業でつり上げた。
 今後、未使用燃料の取り出し作業に移る。東電は4号機建屋や原子炉の解体も見通すが、放射性物質を含んだがれきの処分先などが課題になりそうだ。

■技術開発 高い線量が課題に

 政府と東電は福島第一原発1~3号機の核燃料プールからの燃料取り出しについて、1号機で平成31年度、2号機で29年度、3号機で27年度から開始するとしている。溶融燃料は1号機が37年度から取り出す計画としている。
 政府と東電は当初、1号機の燃料プールからの取り出しを29年度、溶融燃料の回収を32年度から開始する計画としていた。しかし、1号機の原子炉建屋カバーの解体工事に向けた作業の着手が大幅に遅れたことなどが原因で作業計画の見直し案をまとめた。1号機のプールからの燃料取り出しを2年、溶融燃料の回収を5年遅らせる形となった。作業計画を遅らせる形での見直しは初めてとなる。作業計画の見直し結果を踏まえ、来春に廃炉工程を改定する予定。政府と東電は事故から30~40年とされる廃炉完了までの期間には影響しないとしている。
 溶融燃料の取り出しは、1~3号機の原子炉建屋にある格納容器を水で満たし、クレーンなどで引き上げる「冠水工法」が有力視されている。格納容器の内部は損傷し水が漏れているため、漏水箇所を特定し補修する必要がある。

■IRIDが検討 溶融燃料取り出し

 東電福島第一原発の廃炉に向けた最大の課題は、溶融燃料の取り出しだ。溶融燃料のある1~3号機は極めて放射線量が高く、燃料がある場所や形状が特定できていない。課題克服のため、技術開発が急がれる。
 廃炉に関する研究を担う国際廃炉研究開発機構(IRID)が溶融燃料の取り出し方法を検討する。
 1~3号機の燃料取り出しと溶融燃料の回収は、遠隔操作での作業となる。計画通りに進むかは技術向上やロボットの開発が鍵を握る。

■作業員 増加傾向、1日6000人

 東電福島第一原発の事故収束に向けては一日約6000人の作業員が廃炉や汚染水対策に当たっている。
 作業員数は昨年4月の一日約3000人から2倍に膨れ上がった。今年6月には1~4号機の周囲の土壌を凍らせて建屋への地下水流入を防ぐ凍土遮水壁の工事が始まるなど、汚染水問題の深刻化につれて増加傾向にある。
 東電によると、現在は作業員の登録者数が実際に構内で働く人数を上回っており、人員は確保できているという。

■人員確保や環境改善 不可欠
 福島第一原発の廃炉に向けては、着実な作業を継続するため、安定的な人員の確保と作業環境の改善などが不可欠となっている。
 東電は構内の地面を舗装して除染を進めているほか、大型の休憩所、給食センターなどを建設し、環境改善に努める。作業員の被ばく線量の管理も重要だ。5日に完了した4号機からの使用済み燃料の取り出し作業では、昨年11月からの一年間で延べ1万1000人の作業員が携わった。一人当たりの被ばく線量は平均4~6ミリシーベルトだった。

■建屋カバー 3月から本格解体 1号機

 東電は福島第一原発1号機の原子炉建屋カバーの解体に向けた作業に10月22日に着手した。来年3月には本格的なカバー解体を始める計画だ。
 初日は遠隔操作のクレーンに付けた機器で屋根に穴を開けて飛散防止剤を散布した。10月31日には屋根部分のパネル6枚のうち1枚を取り外した。
 東電は12月初旬までに建屋内部のがれきや放射線の状況を調べる。廃炉作業で最難関となる溶融燃料の取り出しに向けた大きな一歩を踏み出した。

■想定以上の穴開くトラブル

 1号機建屋カバーの解体に向けた作業はようやく始まったが、開始早々、カバーに予定よりも大きな穴が開くトラブルが起きた。
 作業の開始に当たっては、昨年8月に3号機のがれき撤去作業中に放射性物質を含んだ粉じんが飛散した問題が起きた影響で、周辺の市町村からは「今回の作業でも粉じんが飛散するのではないか」との懸念が相次ぎ、地元の理解を得るのに難航した。東電は飛散防止剤の濃度を高め、散布回数を増やすなどの改善策を講じた。県民の信頼を得ながらの作業となる。

http://www.minpo.jp/pub/topics/jishin2011/2014/11/post_10995.html
関連記事

Comment



 編集・削除ができます。
 管理者にだけ表示を許可する
 

「東京は危険」、「東京は放射能汚染されている」と書いて信じてくれる人はどれだけいるだろうか。東京江戸川放射線のメインテーマは東京・首都圏の放射能汚染の実態。御用マスコミの裏に隠された汚染状況、独自調査による画像・動画も掲載。


 

管理者の紹介

 

楽天およびAmazonでお買い物する際には是非、下記のリンクからお願いいたします。脱被爆・放射線防護の活動資金に充てさせていただきます。

 

プロフィール

 

東京江戸川放射線

Author:東京江戸川放射線
2011年3月の原発事故時、放射能プルームで被爆。江戸川区の自宅周辺の放射能を測定。測定した結果、放射能汚染が酷いことが判明。妻子は3月より大分県別府市に移住。私も2012年5月末に東京の民間企業を退職し家族と合流。

 

最新記事

 


東京江戸川放射線
on Google+

Sun Mon Tue Wed Thu Fri Sat
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -